GHGプロトコルは、企業が温室効果ガス排出量を算定・報告するための国際的なルールのこと。またこのルールをつくる組織のこと。
GHGプロトコルは企業による温室効果ガスの排出量を、化石燃料の燃焼や利用といった事業活動に伴う直接排出(スコープ1)、他社から買った電気や熱の利用による間接排出(スコープ2)、その他の間接排出(スコープ3)の3つのスコープに分類した。
多くの企業や組織がこの基準を採用しており、温室効果ガスの削減目標設定や、気候変動対策への取り組みの基礎となっている。国際的な情報開示の制度でも、GHGプロトコルに準拠した報告が求められることがある。現在は排出量算定や開示ルールの世界標準として使われている。
1998年、米国の世界資源研究所(WRI)とグローバル大手企業の経営者による組織、持続可能な開発のための世界経済人会議(WBCSD)が、世界共通の排出量算定基準をつくることを目的に、組織としてのGHGプロトコルを創設した。GHGプロトコルは2001年に企業の排出量を算定・報告するための基本的な枠組みである「コーポレート基準」を発行した。
11年には、企業の取引先や顧客といったサプライチェーン全体からの排出量を算定するための「コーポレートバリューチェーン(スコープ3)基準」を定めた。企業のサプライチェーン全体の排出量を、販売する製品・サービスに必要となる調達物資の製造や、物流、従業員の通勤、廃棄、金融資産といった15のカテゴリに分け、それぞれの算定方法を示した。それまで自社の排出量だけを管理してきた企業にとって、スコープ3基準は事業に関わる他社の排出量の管理を意識させる、革新的な内容だった。この基準の発行以来、気候変動対策や人権保護などをサプライチェーン全体で管理することの重要性が認識されるようになった。
50年のネットゼロ実現に向けて見直し進む
50年のネットゼロを目指す現在の世界情勢を踏まえ、算定基準を改定する議論が進んでいる。25年3月時点で「コーポレート基準」「スコープ2ガイダンス」、そして「コーポレートバリューチェーン(スコープ3)基準」の見直しが進行中だ。
GHGプロトコルが取り扱う範囲は、企業活動に伴う排出量にとどまらず、土地利用や森林による炭素吸収・除去にまで拡大している。気候変動対策の緊急性が高まるにつれて、土地管理や炭素除去技術などといった、あらゆる温室効果ガスの削減策を動員しなければならなくなってきたからだ。
国際サステナビリティ基準審議会(ISSB)がまとめたサステナビリティ開示基準「IFRS S2号(気候関連開示)」でも、GHGプロトコルにのっとったスコープ1・2・3排出量の算定が要求されている。IFRS S2号の日本版に当たる、日本のサステナビリティ基準委員会(SSBJ)がまとめた気候関連開示基準(気候基準)でも、スコープ1・2・3排出量の算定を求めている(ただし温暖化対策法の算定・報告・公表制度など政府が認める方法で開示できる)。今後、GHGプロトコルの基準が改訂されれば、国際的な情報開示にも影響を与える。
GHGプロトコルは企業による温室効果ガスの排出量を、化石燃料の燃焼や利用といった事業活動に伴う直接排出(スコープ1)、他社から買った電気や熱の利用による間接排出(スコープ2)、その他の間接排出(スコープ3)の3つのスコープに分類した。
多くの企業や組織がこの基準を採用しており、温室効果ガスの削減目標設定や、気候変動対策への取り組みの基礎となっている。国際的な情報開示の制度でも、GHGプロトコルに準拠した報告が求められることがある。現在は排出量算定や開示ルールの世界標準として使われている。
1998年、米国の世界資源研究所(WRI)とグローバル大手企業の経営者による組織、持続可能な開発のための世界経済人会議(WBCSD)が、世界共通の排出量算定基準をつくることを目的に、組織としてのGHGプロトコルを創設した。GHGプロトコルは2001年に企業の排出量を算定・報告するための基本的な枠組みである「コーポレート基準」を発行した。
11年には、企業の取引先や顧客といったサプライチェーン全体からの排出量を算定するための「コーポレートバリューチェーン(スコープ3)基準」を定めた。企業のサプライチェーン全体の排出量を、販売する製品・サービスに必要となる調達物資の製造や、物流、従業員の通勤、廃棄、金融資産といった15のカテゴリに分け、それぞれの算定方法を示した。それまで自社の排出量だけを管理してきた企業にとって、スコープ3基準は事業に関わる他社の排出量の管理を意識させる、革新的な内容だった。この基準の発行以来、気候変動対策や人権保護などをサプライチェーン全体で管理することの重要性が認識されるようになった。
50年のネットゼロ実現に向けて見直し進む
50年のネットゼロを目指す現在の世界情勢を踏まえ、算定基準を改定する議論が進んでいる。25年3月時点で「コーポレート基準」「スコープ2ガイダンス」、そして「コーポレートバリューチェーン(スコープ3)基準」の見直しが進行中だ。
GHGプロトコルが取り扱う範囲は、企業活動に伴う排出量にとどまらず、土地利用や森林による炭素吸収・除去にまで拡大している。気候変動対策の緊急性が高まるにつれて、土地管理や炭素除去技術などといった、あらゆる温室効果ガスの削減策を動員しなければならなくなってきたからだ。
国際サステナビリティ基準審議会(ISSB)がまとめたサステナビリティ開示基準「IFRS S2号(気候関連開示)」でも、GHGプロトコルにのっとったスコープ1・2・3排出量の算定が要求されている。IFRS S2号の日本版に当たる、日本のサステナビリティ基準委員会(SSBJ)がまとめた気候関連開示基準(気候基準)でも、スコープ1・2・3排出量の算定を求めている(ただし温暖化対策法の算定・報告・公表制度など政府が認める方法で開示できる)。今後、GHGプロトコルの基準が改訂されれば、国際的な情報開示にも影響を与える。